内田百閒 第一阿房列車 [読書]
ようこそです。
夏目漱石の弟子で猫の失踪を描いた「ノラや」などの作品で知られる
内田百閒。 (”閒”が表示できたことにまず感激)
名うての頑固者で鉄道オタクの百閒先生は
昭和25年(1950)還暦を過ぎた頃
”何にも用事がないけれど、汽車に乗って大阪へ行って来ようと思う”
を実行にうつしました。
心臓に不安があるため、当時の国鉄職員で
先生のファンでもあった通称”ヒマラヤ山系”氏を
お供に従えいざ出発
シリーズ化された阿房列車の旅ですが
第一巻だけで大阪、鹿児島、青森、秋田と
日本縦断のスケール
しかし名所旧跡や郷土料理には目もくれず、
ひたすらお酒を飲みながら車窓の景色を眺めるだけ。
時間の拘束に背を向けた浮世離れした旅ゆえに、
乗り換えの失敗で駅のホームで一度ならず2時間待ちも・・・
ドイツ語の教授だったので、さすがハイカラ。
ボイ、ウィスキイ、トウスト など横文字が飛び出します。
かつての教え子(この呼び方が嫌いで作中では学生と表記)が
奥さんを「うちのフラウ(Frau:ドイツ語)」と語るなどは
なかなかありません。
えらい先生ですから見送りはもちろん、
行く先々で接待を受けます。
ヒマラヤ山系は国鉄職員なので全国に顔がきき、
切符の手配や宿探しなど旅の不安も無し
のらりくらりと百閒先生の時間軸に沿って観察された
よしなしごとが綿々と綴られている一冊。
(気の短い人はイラッときそう)
うんちくさえありません。あるいは意図的にはずしたところに
妙味があるという作戦なのでしょう。
まさに内田百閒の世界を味わえる一冊
※書評の秀逸なこちらのブログに影響を受けて読んでみました
また次回
百閒さん、いいですね。サラサラと絵の描ける人が羨ましいです。
by べっちゃん (2015-07-04 19:57)
おはずかしい^^;
貴ブログのハイレベルな映画・書評にいつも勉強させて頂いてます。
by Lee (2015-07-04 21:55)