エディンバラ旅行記_5 [スコットランド]
ようこそです。
16世紀のスコットランドの女王メアリー・スチュアートは
悲劇的なエピソードに彩られた人生でした。
ホリールード宮殿の居室では
嫉妬に狂った夫により、
愛人の男性が殺されるという事件が起こっています。
3日目②:ホリールード宮殿
ホテルの部屋を出ようとしたら
けたたましいサイレンが廊下に鳴り響いた。
隣室のお客と顔を見合わせたものの
火事の気配はなく、そのうち非常ベルはおさまった。
ロイヤルマイルを早足で下る。
昨日入り損ねたホリールード宮殿の見学に
今日は何としても間に合わなくては
坂の下へ行くにつれ観光客は少なくなり
地元の人が目立つ。
左側にお菓子の家の様なキャノンゲート教会があった。
17世紀に建てられた由緒ある教会には
アダム・スミスも眠っている。
宗教上の争いで破壊されたホリールード修道院を
ここで引き継いだという。
クイーンズ・ギャラリーは王室コレクションの宝庫だ。
レンブラントの絵画を始め、王族が使用していた家具や
工芸品も見ることができる。
ロシアの職人に作らせたヴィクトリア女王の
卵型の宝石箱はひときわ可愛らしかった
いよいよホリールード宮殿に入場する。
今でもエリザベス女王がスコットランドの訪問の際に滞在し
その時は見学が出来ない。
階段を上がると華麗な部屋が次々に現れる。
いずれも立派な肖像画や
赤と緑を基調にしたタペストリーに飾られている。
グレート・ギャラリーではスコットランド人の叙勲が行われ、
あのショーン・コネリーも栄誉を得た。
俳優になる前はエディンバラで
牛乳配達などのアルバイトをしていたそうだ。
メアリー女王の居室は案外こじんまりとしていた。
ここで愛人とされるイタリア人秘書ルッチオが
夫のダーンリ卿により斬殺されたのだ。
続く部屋にはメアリーの髪の毛や日用品の中に
裁縫道具が展示されていて
当時の生活が偲ばれた。
宮殿を出るとホリールードアビィの廃墟があった。
12世紀に建設されたが16〜17世紀に
宗教上の争いで破壊の憂き目にあう。
屋根が落ち壁面が残る絶妙のバランスは
ここを訪れたメンデルスゾーンも
作曲のモチーフにしたほど美しい。
修道院から小道に沿って歩くと、
ぐるりと広大な庭園を巡るコースになっている。
芝の中には廃墟の礎石の様なものが残っていた。
ソールズベリー・クラッグスの丘陵が迫る
門まで戻ってきた。
売店では女王陛下在位60年の
ダイヤモンド・ジュビリーのグッズが充実していた。(2012当時)
遅い昼食をとろうと別棟のカフェに入った。
広々と気持ちの良い空間のテーブルには
スコットランドの国花、紫色のアザミ
(thistle:シスル)が飾られている。
食事をしていると、目の前のガラス扉の向こうが突然暗くなった。
次の瞬間落ち葉が風に舞い、パラパラッと驟雨が降ってくる。
間髪を入れずにカフェの暖房が音を立てて入った。
季節の変わり目だ。もうすぐスコットランドに冬がやって来るのだ。
また次回