グレートマジンガー愛 「マジンガーZ INFINITY」後編 [グレートマジンガー]
5月14日に映画「マジンガーZ INFINITY」(インフィニティ)のテレビ放映を観た。グレートマジンガー愛としては、剣鉄也と(旧姓)炎ジュンが幸せになって本当によかったというのが素直な感想である。多くのファンがうすうす感じていたけれど本編ではついに明確に表現されなかった二人の関係。長年の疑問がこの映画によって氷塊したのではないだろうか。
半世紀近く前にグレートマジンガーを知った時から無性に魅かれ続けてきた。(初めてアニメソングアルバムで熱い主題歌を聴いた時、劇場版でグレートマジンガーの鉄也がここはおれにまかせろとビューナスAを放り投げたとき、etc.)他の作品と比べて大人の男女である主役の二人はどう見ても恋人同士なのに、子供向けアニメのためかはっきりと描かれていなかった。本編でも付随する出版物の中でも、孤児の二人は兄妹のように育てられたとしか語られない。第1話の浜辺のシーン、4話の柔道の稽古、49話の海水浴などなど、思わせぶりの場面から想像をふくらませ、多くのファンと同じく欲求不満を抱えて過ごしてきた。(色事は隠すとますます気になるのだ・・・)
以前ブログでも触れたけれど、ジュンは初めから鉄也のために連れてこられたのだと思う。厳しい訓練を受けた鉄也の戦闘パートナーとして、なおかつ癒される相手としてかけがえのない存在。しかしその出自は黒人の米軍兵とのハーフであり、実態は慰安婦ではなかったかと思われる危険性もある。その問題を払拭するため、2018年公開の「マジンガーZ INFINITY」ではジュンの肌を白くし、鉄也と正式に結婚出産をして健全なハッピーエンドを演出したのかもしれない。(マジンガーZの甲児とさやかに比べて地味な二人が丁寧に描かれ、ファンとしてはうれしかったが)
炎ジュンの大きな魅力は褐色の肌である。伸びやかな肢体から繰り出すダイナミックなアクションは唯一無二の野生的な美しさだ。対照的に19話で、雪の降りしきる中を己の肌の色に涙する忘れがたいドラマも、この設定無くしては成り立たない。
たとえ当初は癒しの目的であったにせよ、互いに孤児の戦闘員である鉄也との関係は純愛そのものである。過酷な戦いの陰で激しく求め合っていたに違いないのを子供心に感じていた。ジュンがいなければ鉄也の心は殺伐として冷たいものになっていただろう。彼女を連れてきたことは育ての親、兜剣造の最良のはからいだったと思う。
インタビューで声優の野田圭一さんも語っていたが、これほど主要人物の内面を描いたアニメはそれまでなかったのではないか。鉄也とジュンの生い立ち、関わる人たちとの数々のドラマは、何度見ても観賞に堪える内容を備えている。自分にとってグレートマジンガーは、本編から新作映画に至るまで語り尽くせない特別な作品なのだ。
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